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mediologic

メディアと広告とマーケティングと。

アドボケイツとアンバサダー: マーケティングやPR業界関係者なら、知っておきたいその違い。

つらつら

山本一郎氏につっこまれ、火中の栗を拾うのが得意な徳力くんが、しっかり今朝拾ってます。

あ、僕は友人だろうが後輩だろうが先輩だろうが、やはりそれ間違ってんじゃないの?と思うことにはちゃんと突っ込みますし、正しいと思うことについては両手で賛同します。

でもね、

AMNで使っている「アンバサダー」というのは、「インフルエンサー」とは真逆の意味の言葉なんです。

は、どうなのよと。。。。

さて、、、以前から一部では指摘をしているように(というか徳力くん本人にも伝えてるように)、AMNで普及させようとしてる「アンバサダー」というのは、世界のPR業界で使われている意味とはズレてるか全く真逆なんじゃないと思われる。

「アドボケイツ」と「アンバサダー」の混同をもっともミスリードしそうなのが、この本。

アンバサダー・マーケティング

原題は、 Brand Advocates: Turning Enthusiastic Customers into a Powerful Marketing Force なのですよ。

まあこの本を徳力くんにすすめたという人が「これは絶対AMN向けでしょう」と言ったらしいんですが、それはそうだと思います。でもその人も「えーと、あの人英語力あったっけ」、「いやそのまえに物事の定義とかをちゃんとやらないタイプじゃないのか?」と疑わしい人だったりするのかもしれませんね、よくわかりませんが。

もとい。話をちゃんとすすめましょう。

そもそもですよ、Brand Advocates というのと、Brand Ambassador というのは別物として捉えられてるのですよ。本当に。

それを本を訳すタイミングでなんでちゃんと調べてないのか。なんでそれが同じとミスリードするようなタイトルにしたのか、ほんと甚だ疑問なのです。徳力くん、君ってそういう人じゃなかったはずだよね。

なので上記したブログの内容を読むと、もともとある言葉を「僕たちは違う意味で使ってます」って書いてあるようなものであって、アドボカシーとアンバサダーの混同を招いた責任逃れに読めてしまう。アドボケーツのくだりも、えっ?そうだっけ?って理解になってるし。

すでに海外では一般的な業界キーワードを、ちゃんと流通してる意味や解釈と同じように利用していないことを、「いやいや僕たちの場合は違う意味なんです」なんてのはダメでしょう。

じゃあ、両者の違いはどのようなものとして捉えられているか、色々探した結果、こちらがもっとも分かりやすいかと思われますので、引用しておきます。

Brand Advocate vs. Brand Ambassador: What’s the Difference?

では、以下に原文と抄訳と解説を。

At first glance, the phrases "brand advocate" and "brand ambassador" differ by about half a word - yet that half a word can put them a world apart. 同じように見えるけど、半分違うだけで別の言葉になるということ。
First of all, the biggest difference between the two is that while an ambassador is hired by the company and generally paid, an advocate is a consumer, operating on a purely voluntary basis. 両者の最も大きな違いは、「アンバサダー」というのは企業に雇われ、お金をもらっているのが一般的。一方で「アドボケイツ」というのは消費者が100%自らの意思で行っていること。

※ちなみに上記は"brand"の観点での話。NPOの広報活動などでも advocacyといった言葉が使われることがありますが、これまた違った使われ方になります。でも両者の共通のポイントは何か?を考えると advocate/advocacy のニュアンスがわかると思いますよ。

参考: アドボカシー:Wikipedia Advocacy:wikipedia Why is Public Policy Advocacy Important to Nonprofits? Public Relations and Advocacy: 米国のnational association for gifted childrenによる説明。

insightpoolの文書に戻りましょう。

While an ambassador's platform can range from adverts to organized meetings with the public (or as wide as the company is willing to support), an advocate's is often only by word-of-mouth or by reviews on the Internet. However, this doesn't mean the advocate is less powerful: though the ambassador has a wider potential sphere of influence, the advocate's words preserve more of the credibility that the uninitiated are looking for, and have been shown to have a higher success rate than the ambassador. 「アンバサダー」は(あること・商品について)自分の発言の中で触れることから、(企業のサポートによって)人々を集めることなどもするということを行うのに対し、「アドボケイツ」というのはクチコミやインターネット上のレビューが中心となる。でもこれは「アドボケイツ」のほうが弱いという意味ではない。「アンバサダー」というのが広範囲に広がるという影響力を持っているのに対し、「アドボケイツ」の言葉というのは、例えば自分自身が不慣れな領域について情報を探している人にとってはより信頼性が高いと考えられ、また「アンバサダー」よちも高い成功確率が見られている。

ちなみに、HTCが自社ブランドの「アンバサダー」として、『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jrを雇ったことは、アジア圏の広告・PR・マーケティングニュースでは非常に話題になっていました。日本での業界報道は無かったので知られていませんが。

HTC To Hire “Iron Man” Robert Downey Jr. As Product Ambassador, Says Bloomberg

つまり、ロバート・ダウニー・Jrは「Brand Ambassador/Product Ambassador」として、paid つまり、雇われたわけです。 ちなみに二年間で、1,200万ドルの契約らしいですよ。

これが Ambassador の一般的な使われ方の例なのです。

The one and largest exception to the advocates' traditional platform of word-of-mouth and reviews is, of course, social media. The advent of social media gave consumers the power formerly only large organizations had - the power of mass communication. ソーシャルメディアを通じて、大きな組織だけが持てたマスコミュニケーションのパワーを消費者が持ち始めた。
Advocates now often tweet about positive experiences they've had with a certain brand, and be heard all over the Internet. On the flip side, a particularly scathing review can permanently cripple a brand's reputation. Social media is also a way to convert an ambivalent customer into a return one, into an advocate. With personalized interactions on the Internet, the brand builds a clearer identity, and at the same time portrays itself as open and approachable by the public. These elements all help to reinforce a positive impression of the brand in the mind of the consumer, leading to a larger pool of advocates. 「アドボケイツ」はあるブランドに対するいい経験をTwitterでつぶやいたり、他の人からネットで聞いたりする。また、レビューなんかは長きにわたってブランドの評価を脅かす。ソーシャルメディアは、ネガとポジの両側面をもったお客さんをどちらかに転換、いや「アドボケイツ」に転換する手段。人格化されたインタラクションをネット上で行えば、ブランド・アイデンティティはよりクリアになり、同時に自分たち自身を世の中に対して、オープンで話しやすいように見せることができる。それができれば数多くの「アドボケイツ」を集めることができる。

この ambivalent という言葉は非常に重要で、両面性を持つことを理解しておくべきですよね。ポジにもネガにもどちらにも転がるということで。

If companies learn to identify and better take advantage of the resources they already have in brand advocates (for instance, by offering them official recognition or incentives from the company), brand advocates may eventually hold more sway than the brand ambassador. もし企業が(例えば正式に認めたりあるいはインセンティブ(※)を提供しているような)「アドボケイツ」から実になるものを得ることができれば、「ブランドアドボケイツ」は「ブランドアンバサダー」とは比べ物のならないぐらい効果的なものになる。

※incentivesは日本語では何らかの物的提供や金銭を表すが、本来は「刺激」とか「動機付け」という意味であって、金品の授受のことではない。

さて、どうでしょう?

みなさんは「アドボケイツ」と「アンバサダー」のニュアンスがこれで理解出来ましたか?

ちなみにAMNのサービスそのものはまっとうなものだと思います。用語などの使い方に疑問があるだけで。

とはいえ、違う部分は違うという指摘は必要かと思います。