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mediologic

メディアと広告とマーケティングと。

パブリッシャーは本当に「分散化」に向かうべきなのか?

ソーシャルメディア デジタルメディア メディア論 事業開発・ビジネスデヴェロップメント

DIGIDAYの編集部はデジタルメディア周りの記事がうまくて、本日は

digiday.jp

という記事が出ていました。ここしばらく「分散化」というキーワードがメディアビジネスに使われているのは皆さんご存知の通りですが、私自身は非常に違和感を持って聞いています。実際は、コンテンツの分散配信、つまり配信先を拡げることによってコンテンツのリーチを増やすということでありますが、英語にはない「キュレーションメディア」という言葉と同時期に広がってきたこの「分散化」という言葉単独では、ある意味業界によくある無責任ワードの一つな気もします。

そもそもオリジナルなコンテンツの権利者が他にコンテンツを配信する際には、1)相手先がコンテンツが欲しいということから権利料をいただいてコンテンツを提供するパターンと、2)コンテンツ配信にともなって発生する利益(広告収入/有料コンテンツ収入など)を分配する、いわゆるレブシェアかどちらかがその事業モデルになっています。この1)2)の場合は「分散化」とはまず言いません。例えば、どこかのパブリッシャーがSmartNewsにコンテンツを配信したからといって、それを「分散化」と呼ぶことはないでしょう。

この「分散化」というのが、コンテンツの権利者がそのコンテンツを欲しい側に提供するという従来モデルと違うのは、メディア側自身がソーシャルメディアを中心にコンテンツを「分散化」させるというところにあり、分散的に配信されたコンテンツがシェアされることで読者数を伸ばすことができるだろうということを多くの場合パブリッシャが期待していることにあります。ところが上記のDIGIDAYの記事にもあるように、依存していたプラットフォーマーが方針を変えると、依存度合いの高いメディア(=パブリッシャー)ほど影響を受けるわけです。当然ですよね。

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「検索離れ」の原因は、単にソーシャルメディアの普及だけじゃないと思う。

Google SEO/SEM

少し前にこういう話が出て、若者の検索離れが話題になりましたね。

jp.techcrunch.com

で、ソーシャルメディアを使って他の人のナマの声を聞いたほうがリアルだ、とか。

実際には、AdWordsの売上が相変わらず好調だったりするのを見ると、検索はオワコンなんてことはなく、まだまだ使われていると思います。

しかしながら、例えばある商品について調べようと検索すると、ショッピングサイトばかりが並ぶ状況。私自身もこれには辟易。

検索というのはユーザー行動で考えてみると、多くの割合を「何かについて調べたい」というタイミングでの使用で占めていると思います。何かの商品名をキーワードに調べたとしても、商品を調べたいタイミングと買いたいタイミングは別なわけなのに、今のGoogleの検索結果はショッピングサイトのリンクばかりが出てきてしまうという状況。こんな感じで「荒れて」いれば、調べ物をしようとしても、自分が欲しい情報にたどり着くまでに手間がかかるため、検索することがめんどくさくなってしまう。あれ、おかしいな。。。Googleって、あらゆる情報に誰もがアクセスしやすいようにするっていうミッションを持ってて、かつ情報到達までのスピードにこだわってなかったっけ・・・。

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「デジタルマーケティング」とは何か? 「デジタル」は「マーケティング」をどのように変えるのか?

寄稿・記事(マーケティング・広告) マーケティング研究 マーケティング・コンセプト

寄稿文の紹介です。

一橋大学国際企業戦略研究科の藤川先生と共同執筆で、一橋ビジネスレビューにて『デジタルマーケティング』というテーマで文章を寄せています。

「デジタルマーケティング」と言っても、本文章で書かれているのは、あちこちで見られる、デジタル時代に企業マーケティングはどうやっていくべきか」や「デジタルなツールを使ってマーケティング企画をどうするべきか」という話ではなく、本質的に「デジタル」というものをどう捉え、それがもたらす様々な変化は、「マーケティング」という概念をどのように変えることになるのか、というものです。

なのでこの文章を読んだところで、「デジタルマーケティングのやり方」がわかるわけではありませんが、「マーケティングという概念がデジタルによってどのように変わる可能性があるか」という建物の基礎・土台に関わる部分について書いてあります。

それゆえ、「デジタルマーケティング」の従事者にとっては「マーケティング全体」における「デジタル」の位置付け、そして「マーケティング」の従事者にとっては「デジタルによるマーケティングの変容」について、概要的な理解をしていただけるようになっているかと思います。

とりわけ、藤川先生は「サービス・ドミナント・ロジック」や「価値共創時代の顧客戦略・共創マーケティング」といった領域にお詳しい方なので、「デジタル」がもたらすマーケティングの変化を“ユーザー/買い手/顧客”視点で捉えている私とのマッチングが僭越ながら非常によかったと思っており、文章もどこからが藤川先生パートでどこからが高広パートなのかがわからないくらい一つの文章として綺麗にまとまっていると思います。

ご興味ある方は、Kindle版もありますので、ぜひご一読ください。

また、特に今回の一橋ビジネスレビューについては、マーケティングやスタートアップ業界の従事者にとって読むべき他の文章も多数ありますので、お手に取られることをおすすめしたく。

「データマーケティング」という言葉が嫌いだ

コミュニケーションプラニング/コミュニケーションデザイン デジタルなマーケティング マーケティング・コンセプト 広告に関するアカデミックな 消費者行動・メディア利用

僕は「データマーケティング」という言葉が嫌いだ。

嫌いな理由を上げると、

 

1)そもそもマーケティングに「データ」を使うのは当然だろ?

 

もちろん「データマーケティング」という言葉が今もてはやされるのは、デジタルマーケティングの普及、そしてその背景にある“データが取りやすいデバイスを消費者が使ってる状況などから、DMPを筆頭に「データ」を扱いやすくなったことにあると思う。しかしながら、「データ」を使うのはマーケティング上当然のことなんだよ。なので今更「データマーケティング」なんてのは、「え?そもそもあなた達はデータを重視してこなかったんですか?」とツッコミたくなるバズワードなのだ。

当然、常々僕自身があちこちで言うように、「一見、新しくない言葉でも新しい言葉として取り扱われるには、その背景に新しさがあったりするので、当たり前過ぎることでも深掘りしてみないと本質的な部分が見えてこない」ということはあるのだが、こと「データマーケティング」という言葉については、どうもすっきり来ない。

この「データ」を使ってマーケティングの目標管理をするという点において、古典的しかし今でも有効かつ本質的な教科書となるのが、60年代初頭にRussel Colleyが発表し、その後 Solomon Dutkaによる書籍となった"DAGMAR approach"だろう。"DAGMAR"とは"Defining Advertising Goals for Measured Advertising Results"の略で、「広告のゴールを測定された広告結果から定義する」ということ。

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なんでわざわざ「日本語」にしたがるのか。訳すことと理解することは違うと思うんだがな。

つらつら

日本でわかりにくい、というか訳しにくいマーケティング・広告業界用語、例えば engagement とか addressable とかもしかすると interactive なんかもそうかもしれないけど、そういう言葉に出会った時に、それらの言葉を英語表記、ないしはカタカナ表記のまま理解しようとする態度と、それらの言葉を“わざわざ”日本語に置き換えようとする態度と2つの態度があると思う。

英語ですでに成立している業界用語を、「難しいから日本語に平易に訳して」って言う人をたまに見かけるわけですよ。業界外ならいざしらず、業界内の人間で、そういうこと言ってしまう人って、きっと本気で理解しようと思ってないと思うんですよね。そもそも、新しい言葉だったり、ないしは日本語で対応する言葉がない場合、なぜわざわざ「日本語」に置き換えようとするのかまったく意味不明。ムダ。しかも日本語にしてしまったほうが難しい漢字の組み合わせや造語になったりして、ますますわけがわからなくなったり。余計に混乱を招くんじゃないかと。

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